WISE・WISE STARBUCKS JIMOTO table
2019.11.27
スターバックスコーヒー LINKS UMEDA 2階店
「都会の暮らし」と「身近な森」をむすぶ
「都会の暮らし」と「身近な森」をむすぶ
「都会の暮らし」と「身近な森」をむすぶ
家具や内装には、沢山の地元の木が使われています。まるで森林浴をしているように木々に包まれながら、コーヒーを片手にくつろぐことができます。店舗に入ると目につくのは、高さ4メートル以上の丸太*の存在感あるスギ柱(丸太は2階のカウンターで注文して、階段を上がり3階の客席に行くと見えてきます)が立ち、重量感ある木をたっぷりと使ったベンチです。これら丸太や木材は、地元の森・河内長野市からやってきました。
「都会の暮らし」と「身近な森」をむすぶ
河内長野市は面積の約70%が森林・主に杉や檜の産地で、約300年の歴史をもつ河内林業の中心地です。河内林業はその知恵を分かち合いながら、都の消費地が近く、この地に根差した林業として発展していきました。なんと、大阪城にもその木は使われているそうです。また、兵庫県神戸市の灘の地域は酒造で有名ですが、その“酒樽(さかだる)”の材料としても河内材が使われていたそうです。地元で林業を生業とする大阪森林組合の堀切さんが教えてくださいました。
「都会の暮らし」と「身近な森」をむすぶ
木は何十年もかけてようやく伐採・収穫できます。林業家の人たちは、代々、子どもや孫のために木を大切に育ててきました。だから、木目が真っすぐで切り口が真円に近く、年輪の巾も緻密で均一な良質材となり「おおさか河内材」というブランド材として呼ばれています。
人が自ら木を植え育てた森を人工林と言います。人工林はいわば“山の畑”です。手入れをしなければ、山が荒れてしまいこのような美しい木が育つ森をつくることができないため、私たちは木を積極的に使い、暮らしに取り入れることで、山の仕事を応援することができます。
「都会の暮らし」と「身近な森」をむすぶ
今回の丸太は、4メートルの長さがあり、地元、大阪の北・能勢町の森林組合の加工場へ運び樹皮を取り丸棒に削り表面を磨き、木の国日本の知恵で“背割り”という加工が施されています。
木は根から養分・水を吸い上げるため、材料として使うには、乾燥させる工程が不可欠です。そのため木の伐採は、葉が蒸散し落ちる・木の水分が最もない秋から冬にかけてする仕事になります。そして、天日乾燥させることでヒビや割れを落ち着かせます。丸柱として使用する際には、板のように乾燥が容易ではないため、意図的に割れをつくり意匠として活かし、他の部分に割れがでないよう力を逃がしています。今回は丸太のテーブルにも応用しています。
「都会の暮らし」と「身近な森」をむすぶ
長年、森林を所有し手入れをしてきた奥野さんに、自然と共に暮らしてきたエピソードをお聞きしました。
「川の近くには、手つかずの原生林的な木が少し残ってるんだが、なぜかと言うと、昔はここら辺の森は寒いから自然の冷凍庫になっていて、豆腐を凍らせて“高野豆腐”をつくっていたんだ。原料の大豆は、索道(さくどう)といって川の沿いにロープを張って豆をロープウェイのようにして運んでいたんだよ」「そういえば来る途中に、“山の豆腐”という看板を見かけました。あれは高野豆腐のことだったんですね。」「昭和10年位までは、その製法で高野豆腐をつくっていたんだ」
 
河内平野と隣接するこの地は、森林所有者が林業と農業を兼業していました。
家の柱・建材、農業の杭、生活道具のために杉や檜を育て、冬の暖や料理のため炭としてコナラ(どんぐりの木)を植えるなど、里山の暮らしの中には、たくさんの木が使用され、自然と共に暮らしていました。
 
このお店を通じて、少しでも木を知って興味を持ち、自然を考えてもらえれば嬉しいです。木に触れて感じ取ってもらえればと願っています。
 
記事:ワイス・ワイス
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