Story1 KURIKOMA

被災地・宮城、栗駒山麓の杉の木。
椅子材には不向きと言われる杉の木。
この杉が「やさしい椅子」に姿を変え、
そして、地元の「雇用」を生む。

栗駒の杉

栗駒山の麓、鳴子温泉の地で育った杉。伐採した木を馬の力を借りて山から搬出する伝統的な「馬搬/ばはん」と、バイオディーゼル燃料の小型機械により搬出。山を傷めず、CO2を極力排出しない森にやさしい木材。

「杉は柔らかく椅子材には不向き」。
その常識を、変える。

産 地:栗駒山麓(宮城県栗原市、大崎市)
伐 採:NPO法人しんりん(大崎市)
製材所:株式会社くりこまくんえん(栗原市)

2011年3月11日東日本大震災発生。

その1ヶ月後、まだ自衛隊やボランティアの方々が大量の瓦礫除去を行なっていた4月、ワイス・ワイスは被災地へ向かいました。
東北のために何かできることはないかと有志で集まり、福島・宮城・岩手に、車中泊を覚悟で移動。その道中で出会ったのが、栗駒山の中腹にある、くりこま高原自然学校の佐々木豊志校長でした。その日、佐々木校長に宿を提供していただき、そこで一晩語り明かしたことがすべての始まりでした。

家具づくりを、復興のチカラに。

「被災した人たちが自らの力で復興していけるように、東京に戻ったら私たちと一緒にできる仕事をつくってほしい。」復興には何十年もの時間がかかる。そう佐々木校長は訴えました。
そして、杉を専門に製材業を営む(株)くりこまくんえんの大場隆博さんを紹介してくれました。同社は2008年の岩手・宮城内陸地震で被災、ようやく立ち直ったところを、再び東日本大震災に襲われ、実に大変そうでした。
栗駒山の麓で、杉の伐採から製材作業まで一貫して行なっている(株)くりこまくんえんを中心に林家、林業従事者、製材所、木工工房が繋がり、質の高い「杉の椅子」をつくるという新しいチャレンジが始まりました。これは、被災地域に暮らす人たち自身による持続的な復興の仕組みをつくるというチャレンジでもありました。

一番の課題は、家具としての強度。

杉材は柔らかく、特に椅子のような細い意匠に向かない。また、日本は歴史的に畳に座る座敷生活の文化で、全国的にも椅子をつくれる工房が少ない。そのため栗駒にも大工や建材職人はいても家具職人はいなかったのです。

杉を活かすデザイン。

まずワイス・ワイスが行なったのは、家具デザイナー・榎本文夫さんへの協力依頼。榎本さんは杉という柔らかい素材をそのまま活かす研究開発に長年取り組んできました。杉材の弱点を克服するために、杉の繊維を交差させるように積層し、背柱と脚と座枠を一体化させる工法を考案されました。何十年も杉に慣れ親しんできた製材所の職人や大工さん、そして榎本さんと共に、何度も強度試験を繰り返しました。そして栗駒に通い続けて2年が経ったある日。私たちはついに目にしたのです。杉で作られていながら、実にJIS規格の3倍の強度を実現した椅子を。まさに常識を覆した杉製の「KURIKOMA」が、ここに誕生したのです。

家具づくり、そして、山づくり。

受注も年々増え、「KURIKOMA」を生み出すメンバーは、多い時では地元の福祉作業所のスタッフも含めて総勢13名。素材と向き合い失敗と経験を積みながら、加工時の技術向上や生産効率の向上など様々な知恵と工夫を重ね、その品質は発売当初よりも格段に上がり、立派な家具工場となりました。しかも、木の伐採を含めた素材づくりから製品の加工までをワンストップで行う体制・仕組みが出来上がりました。栗駒山の麓では、大場さんを中心に、震災後の復興、そして「経済も森も循環する健全な山づくり」にますます邁進しています。

大場 隆博
Ooba Takahiro

Timber Work Group 営業
((株)くりこまくんえん)、NPO法人しんりん 理事長

アトピーで苦しむ女の子との出会いを機に、暮らす人と自然や地球に配慮した環境共生の暮らしづくりに尽力。林業 製材 建築 家具 教育が地域風土と調和した暮らしの産業化を提案する。

KURIKOMA

柔らかい杉そのままでありながら、非常に頑丈。さらに重量4キロととても軽いため、住宅やホテル、高齢者施設や病院などでも愛用されています。
Design: (有)榎本文夫アトリエ 榎本 文夫

  • KURIKOMA
    サイドチェア

    KR-101

  • KURIKOMA
    アームチェア

    KR-102

  • KURIKOMA
    ループサイドチェア

    KR-103

  • KURIKOMA
    ループアームチェア

    KR-104

  • KURIKOMA
    ダイニングテーブル

    KR-105

宮崎県諸塚村のどんぐりの木。太くなり過ぎて、椎茸栽培のホダ木として活用できなくなったこの木が、「諸塚の森を再生する家具」へと生まれ変わる。

Story Morotsuka

北東北のクリの木。「パルプチップ」にされ、高級トイレットペーパーになっていた。このクリの木をきっかけに、新生AKIは誕生した。

Story Aki

フェアウッド・プロダクツ

ワイス・ワイスのフェアウッドを使った家具は他にも様々あります。
椅子だけでなく、テーブルも、ソファの構造にも、
もちろんフェアウッドを使用しています。
使われている木のルーツ次第で、「座り心地」や「愛着の度合い」は
ずいぶん変わってきます。木は命であり、森は生命の源です。
豊かな日本の森や美しい世界の自然を想い、
長く使える暮らしの道具を心を込めて皆さまにお届けします。

フェアウッド・プロダクツ 一覧

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