2011年3月11日東日本大震災発生。
その1ヶ月後、まだ自衛隊やボランティアの方々が大量の瓦礫除去を行なっていた4月、ワイス・ワイスは被災地へ向かいました。
東北のために何かできることはないかと有志で集まり、福島・宮城・岩手に、車中泊を覚悟で移動。その道中で出会ったのが、栗駒山の中腹にある、くりこま高原自然学校の佐々木豊志校長でした。その日、佐々木校長に宿を提供していただき、そこで一晩語り明かしたことがすべての始まりでした。
家具づくりを、復興のチカラに。
「被災した人たちが自らの力で復興していけるように、東京に戻ったら私たちと一緒にできる仕事をつくってほしい。」復興には何十年もの時間がかかる。そう佐々木校長は訴えました。
そして、杉を専門に製材業を営む(株)くりこまくんえんの大場隆博さんを紹介してくれました。同社は2008年の岩手・宮城内陸地震で被災、ようやく立ち直ったところを、再び東日本大震災に襲われ、実に大変そうでした。
栗駒山の麓で、杉の伐採から製材作業まで一貫して行なっている(株)くりこまくんえんを中心に林家、林業従事者、製材所、木工工房が繋がり、質の高い「杉の椅子」をつくるという新しいチャレンジが始まりました。これは、被災地域に暮らす人たち自身による持続的な復興の仕組みをつくるというチャレンジでもありました。
一番の課題は、家具としての強度。
杉材は柔らかく、特に椅子のような細い意匠に向かない。また、日本は歴史的に畳に座る座敷生活の文化で、全国的にも椅子をつくれる工房が少ない。そのため栗駒にも大工や建材職人はいても家具職人はいなかったのです。